葛のお花は強く甘い香りをしています。秋の野を散歩していて、どこからともなくいい香りがすると思って足元を見ると、葛の花が咲いていたということはよくあります。どんな香りかと尋ねられると、「ファンタグレープ」のような香りと答えています。自然な優しい香りというより結構強い香りです。
今回は葛の花について書いてみようと思います。
葛花と葛根の読み方は?
葛のお花を乾燥させたものは、葛花(かっか)と呼ばれています。これに対して、葛の根を挽いて乾燥させたものが、生薬の葛根(かっこん)です。
生薬としての葛花の薬効は?
葛花(かっか)を乾燥させて粉にしたものが、漢方薬の「葛花解酔湯(かっかげすいとう)」で、二日酔いや肝機能障害に薬効があると言われています。
田舎に引っ越してきてからは常に車社会なので、飲み会に行っても飲めず、二日酔いになる機会がないので実体験は語れませんが、薬草の大家の村上光太郎先生のコラムによると、酒屋の外に漂う酒のにおいだけで全身が真っ赤になるほどの酒アレルギーでも、飲み会の前に葛花解酔湯煎じて飲んでおくと、最後まで寝ることもなく過ごせたとか。
ウコンを飲むという話はよく聞きますが、飲み会の前に葛の花ってちょっとおしゃれですね。
葛の花のイソフラボンの効果は?
葛の花にはイソフラボン(女性ホルモン用物質)が多く含まれています。中国産の葛の花にもイソフラボンは含まれていますが、日本の葛のイソフラボンと構造式が違うため、効果がないようです。産地をチェックした方がいいようです。
葛の花のサプリのダイエット効果は
「葛の花」と検索すると、葛の花のイソフラボンにダイエット効果があるとうたったサプリの広告が出てきますが、消費者庁はその根拠は不十分という見解のようです。
対象商品を摂取するだけで、誰でも容易に、内臓脂肪(及び皮下脂肪)の減少による、外見上、身体の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。(中略)当庁は、景品表示法第7条第2項の規 定に基づき、16社に対し、それぞれ当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、16社から資料が提出された。 しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
(引用元:消費者庁)
暑さも和らぎ体を動かすのが気持ちがいい季節になってきています。体を動かして郊外に行って葛などを摘んだりしたほうがダイエット効果があるかもしれませんね。
たべれる秋の七種、葛の花
私は葛の香りが好きなので、きれいな葛の花が手に入ったら仕込み作業に取りかかります。
咲いたお花をよく見ると、中に虫が入っていることがあります。虫たちもこの葛の香りが好きなんですね。お花をため水でさっとふるい洗いをし、虫を取り除きます。水気を軽く拭き取って、お花を房から外して陰干しして、水分をとばします。
葛の花の酢漬け
葛花は乾燥した使われる生薬ですが、必ずしも乾燥させる必要はないようです。村上光太郎先生によると、葛の花は酢漬けにしても、肝機能を促す働きはあるようです。
葛の花は塩漬けにするか、よくゆでて水にさらし、三杯酢にして食べても肝機能を促す働きがあります。
(引用元:村上光太郎(2001年)『薬草を食べる<9>』徳島新聞12面)
熱湯で30秒ほどゆがいてざるにあげ、水けをよくきったのち、甘酢につけておきます。水分を水分が残っていると味がうすくなったり傷みやすくなるからです。
ご飯のうえに散らして、葛の花ご飯にしていただきます。
葛の花のワイン
準備するワインは、スーパーで売っているような白ワインで十分です。
よく洗った空き瓶に洗って水けをきった葛を入れ白ワインを注ぎ数日間漬け込みます。葛からも甘みが出るので辛口のワインで大丈夫です。白ワインのアルコールでイソフラボンが抽出されているのかは分かりませんが、葛の花の甘い香りがうつってワンランク上のワインになりますよ。
時間が経つと葛の花の色は退色してしまうので、長期保存には向いていません。
1〜2週間のうちに飲みきってしまいましょう。