鮮やかなピンク色の卵ができました。赤色△号といった合成着色料ではなく植物から作った色素に漬けたものです。
その天然着色料とはケイトウです。
夏から秋にかけて野を散歩しているとちらほら目にします。鶏の頭のトサカににていることからケイトウという名前になったとか。
万葉植物のケイトウ
ケイトウは、熱帯アジアからインドが原産の植物です。日本には万葉時代に大陸からやってきました。
我がやどに 韓藍蒔き生ほし 枯れぬれど
懲りずてまたも 蒔かむとそ思ふ(万葉集 山部赤人)
秋さらば 移しもせむと 我が蒔きし
韓藍の花を 誰たれか摘みけむ(万葉集 詠み人知らず)
ここに出てくる「韓藍(からあい)」は、ケイトウのことです。
韓藍(からあい)という別名のとおり、韓の国からきた藍(染料)として、万葉人は花を摘んで染料として使っていたと言われています。
そのほか、「エボシギク」「エボシマンダラ」「カライ」「トリエボシ」「キーツ」などという名前でも呼ばれていました。
生薬にもなるケイトウ
ケイトウは「鶏冠」という生薬名があります。花の部分は「鶏冠花」種は「鶏冠子」と呼ばれています。
ケイトウには、赤、オレンジ、黄、白などがありますが、このうち赤と白が薬用として使われています。
お花や種を煎じて飲むと、各種出血(痔出血、腸出血、月経過多など)や下痢に、外用すると、痔やしもやけのただれに、効果があるそうです。
天然色素の赤色系統のケイトウ
秋の野でケイトウのお花をみつけたらさっそく天然染料をとっておきましょう。
ケイトウの染料の作り方
レシピというほどのレシピはありませんが、簡単に作りかたをご紹介します。
1) ケイトウのお花の部分を2〜3本摘みます。
2) ケイトウのお花がつかるくらいの分量のお水を沸かします。
3) ケイトウを入れて数分煎じます。色が出てきたらケイトウを取り出して粗熱をとって冷まします。
粗熱がとれたら冷蔵庫または冷暗所で保存します。私は空きペットボトルに入れて冷凍保存しています。
ケイトウ染料の使い方
摘み菜の先生から教わったケイトウ染料を使ったステキなアイデアをご紹介します。
ゆでたうずらの卵をケイトウの煮汁につけて冷蔵庫で保管します。
ひと晩おくと鮮やかなピンク色に染まります。
天然色素というと、色が薄いイメージですが、ここまで発色すれば十分です。合成着色料の赤色△号やコチニール色素はあまり積極的に摂りたくありませんが、生薬にも使われているケイトウなら、ザイアク感なしで、安心して使えます。
出来上がったピンクのうずらの卵は、こんな風にお雛様に早変わり。
来年のおひな様に備えて、ケイトウのある時期に収穫して染料を取っておいてはいかがでしょうか。