QUATRE(キャトル)の庭

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【リハビリ】高齢者の寝たままリハビリ 入院による筋力低下からの回復 効果的な運動と注意点

寝たきりの方や、日中ベッドで過ごす時間が多い方へ

この記事では、寝たままできる効果的なリハビリ方法をご紹介します。筋力低下の予防、関節の柔軟性維持、そして心身のリフレッシュに役立つ運動を、安全に行うためのポイントと合わせて解説します。

寝たままリハビリの必要性と期待できる効果

廃用症候群とは?

廃用症候群は、活動量の低下によって引き起こされる筋力低下関節の拘縮褥瘡(床ずれ)など様々な機能低下症状の総称です。

長期臥床だけでなく、ギプス固定や手術後の安静など、活動量が制限される状況下であれば誰にでも起こりえます。特に高齢者は、基礎体力が低下しているため、廃用症候群に陥りやすい傾向があります。

廃用症候群の予防には、早期からのリハビリテーションが不可欠です。医師や理学療法士と連携し、個々の状態に合わせた適切なリハビリプログラムに取り組むことで、機能低下のリスクを最小限に抑え、早期の機能回復を目指しましょう。

寝たままリハビリは、その初期段階として非常に有効な手段となります。

サルコペニアとフレイル

加齢に伴うサルコペニア(筋肉量の減少)やフレイル(心身の機能低下)も、寝たきりの原因となります。寝たままリハビリは、これらの進行を遅らせ、健康寿命を延ばす効果が期待できます。

  • サルコペニア 加齢や疾患によって筋肉量と筋力が低下する状態
  • フレイル 加齢に伴い心身の機能が低下し健康と要介護状態の中間に位置する状態

どちらも、寝たきりのリスクを高める要因となります。

寝たままリハビリは、筋肉量の維持や筋力向上に効果も期待できるため、サルコペニアの進行を遅らせることが可能です。また、関節可動域の維持や血行促進効果もあるため、フレイルの進行抑制にも効果があるとされます。

無理のない範囲で継続することで、健康寿命の延伸に繋がるでしょう。

リハビリによる効果

寝たままリハビリは、筋力維持・向上、関節可動域の維持、血行促進、精神的な安定など、様々な効果をもたらします。無理のない範囲で継続することで、生活の質(QOL)を高めることができます。

  • 筋力維持・向上効果 寝た状態でも筋肉に刺激を与えることで、筋力低下を抑制し、維持・向上を図ることができる
  • 関節可動域の維持効果 関節を動かすことで、拘縮を予防し、可動域を維持することができる
  • 血行促進効果 運動によって血流が改善され、全身の組織への酸素供給が促進される
  • 精神的な安定効果 適度な運動は、気分転換になり、ストレス軽減や精神的な安定に繋がる

これらの効果は、生活の質(QOL)を高める上で非常に重要です。

始める前に確認!安全に行うための注意点

理学療法士との連携

リハビリを行う際は、医師や専門家と連携し、適切なプログラムを作成してもらいましょう。

患者さんは、理学療法士や作業療法士の指示に従って、積極的にリハビリに取り組むことが、筋力回復への近道となります。

このプログラムには、筋力トレーニング、ストレッチ、バランス訓練、歩行訓練などが含まれます。

リハビリテーションメニューは、理学療法士や作業療法士などの専門家が、患者さんの筋力、関節可動域、バランス能力、日常生活動作などを評価し、運動量や強度を調整し安全かつ効果的に作成されます。

また、定期的にチェックしてもらうことで、必要に応じてプログラムを修正し常に最適なリハビリを受けることができるので、効果を最大限に高めることができます。

体調チェックは必須

リハビリを行う前に、体調を確認しましょう。発熱や痛みがある場合は、無理に行わず、医師や理学療法士に相談してください。

体調が優れない状態でリハビリを行うと、症状が悪化する可能性があります。特に、発熱がある場合は、炎症反応が亢進している状態なので、安静にするのが基本です。痛みがある場合は、無理に動かすことで、組織を損傷してしまう可能性があります。

リハビリを行う際は、事前に体温、血圧、脈拍などを測定し、体調に異変がないか確認しましょう。少しでも不安がある場合は、自己判断せず、医師や理学療法士に相談し、指示を仰ぐようにしてください。安全にリハビリを行うことが、効果を高める上で最も重要です。

呼吸を止めない

運動中は、呼吸を止めないように意識しましょう。息を止めると、体内の酸素濃度が低下し、血圧が急激に上昇する可能性があります。特に、高齢者や高血圧の方は注意が必要です。

リハビリ中は、意識的にゆっくりと呼吸しながら、リラックスして行うよう心がけましょう。

  • 吸う 鼻からゆっくりと吸い込み、お腹を膨らませる
  • 吐く 口からゆっくりと吐き出し、お腹をへこませる

呼吸のリズムに合わせて、リラックスして運動を行いましょう。もし息苦しさを感じたら、すぐに運動を中止し、休憩してください。

痛みを感じたら中止

運動中に痛みを感じたら、すぐに中止します。

痛みは、身体からの危険信号です。痛みがあるにもかかわらず、無理に運動を続けると、筋肉や関節を損傷してしまう可能性があります。リハビリ中に痛みを感じたら、すぐに運動を中止し、楽な姿勢で安静にしてください。

痛みが続く場合は、医師や理学療法士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。自己判断で運動を再開すると、症状が悪化する可能性があります。痛みの原因を特定し、適切な対処を行うことが、早期回復に繋がります。

無理のない範囲で、安全にリハビリを行いましょう。

筋力回復のための寝たままできる基礎的なリハビリ運動

ベッド上での運動は、リハビリテーションの第一歩として、非常に有効な手段です。

入院直後で、まだ体を起こすことが難しい状態でも、ベッド上での簡単な運動からリハビリテーションを開始できます。

積極的に取り組むことで、早期回復に繋げることができます。

  • 手足をゆっくりと曲げ伸ばしする運動
  • 足首や手首を回す運動
  • お尻を持ち上げるブリッジ運動

などは、筋肉を刺激し、血流を促進する効果があります。

これらの運動は、筋力低下の予防だけでなく、関節の可動域を維持する上でも重要です。

運動を行う際は、無理のない範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行うことがポイントです。痛みを感じる場合は、無理に動かさず、医療スタッフに相談しましょう。

足首の運動

足首の運動は、下腿の血行促進や、足関節の柔軟性維持に効果があります。仰向けに寝て、リラックスした状態で行いましょう。

仰向けに寝て、足首をゆっくりと上下に動かします。

次に、足首を回すように動かします。各10回程度繰り返します。

反対側の足も同様に行います。

足首を上下に動かす際は、ゆっくりと大きく動かすことを意識してください。足首を回す際は、時計回りと反時計回りを交互に行いましょう。

この運動は、寝たきりの方だけでなく、長時間座っている方にもおすすめです。定期的に行うことで、むくみや冷えの改善にも繋がります。

膝の曲げ伸ばし

膝の曲げ伸ばしは、大腿部の筋力維持や、膝関節の柔軟性維持に効果があります。仰向けに寝て、リラックスした状態で行いましょう。

仰向けに寝て、片方の膝をゆっくりと胸に引き寄せます。

次に、ゆっくりと膝を伸ばします。各10回程度繰り返します。

反対側の足も同様に行います。

膝を胸に引き寄せる際は、息を吐きながらゆっくりと行いましょう。膝を伸ばす際は、息を吸いながらゆっくりと行いましょう。

この運動は、膝関節の可動域を広げるだけでなく、股関節の柔軟性向上にも繋がります。定期的に行うことで、歩行能力の維持・向上にも効果が期待できます。

お尻上げ

お尻上げは、殿筋群の筋力強化に効果があります。

仰向けに寝て、膝を立てた状態で行います。

お尻をゆっくりと持ち上げ、数秒間キープします。

10回程度繰り返します。

お尻を持ち上げる際は、息を吐きながらゆっくりと行いましょう。お尻を下ろす際は、息を吸いながらゆっくりと行いましょう。

お尻を持ち上げた状態で、数秒間キープすることで、より効果的に殿筋群を刺激することができます。

運動中は、腰に痛みを感じない範囲で行ってください。もし痛みを感じたら、すぐに中止し、休憩してください。

この運動は、立ち上がりや歩行に必要な筋力を養う上で非常に重要です。定期的に行うことで、転倒予防にも繋がります。

さらに効果を高める!応用的なリハビリ運動

ベッドサイドでは、足上げ運動やお尻上げ運動などの筋力トレーニングを行います。これらの運動は、下肢の筋力強化に効果的です。

また、椅子に座っての運動も行います。椅子に座って、手足を動かしたり、体を捻ったりすることで、全身の筋肉を刺激し、バランス感覚を養います。

さらに、歩行訓練も重要なリハビリメニューの一つです。最初は平行棒につかまって歩行練習を行い、徐々に杖歩行、そして最終的には自立歩行を目指します。

タオルギャザー

タオルギャザーは、足指の筋力強化や、足裏の感覚刺激に効果があります。

床にタオルを敷き、椅子に座った状態で行います。

足の指を使ってタオルを手前に引き寄せます。

次に、タオルを元の位置に戻します。数回繰り返します。

足の指を使ってタオルを手前に引き寄せる際は、足の指をしっかりと曲げることを意識してください。タオルを元の位置に戻す際は、足の指をしっかりと伸ばすことを意識してください。

この運動は、足のアーチをサポートする筋肉を鍛えることができるため、扁平足の改善や、外反母趾の予防にも効果が期待できます。

ボールを使った運動

ボールを使った運動は、胸筋や上腕の筋力強化に効果があります。

柔らかいボールを両手で持ち、胸の前で行いましょう。胸の前でボールを押しつぶすように力を入れます。数秒間キープし、力を抜きます。数回繰り返します。

ボールを押しつぶすように力を入れる際は、息を吐きながらゆっくりと行いましょう。力を抜く際は、息を吸いながらゆっくりと行いましょう。

ボールの硬さによって負荷が変わるので、体力に合わせて調整してください。

運動中は、肩や首に力が入らないように、リラックスして行ってください。もし痛みを感じたら、すぐに中止し、休憩してください。

この運動は、姿勢改善や、肩こりの解消にも効果が期待できます。

セラバンドエクササイズ

セラバンド(ゴムバンド)を使ったエクササイズは、腕や足など様々な部位の筋力強化に効果があります。

運動中は、呼吸を止めないように意識し、痛みを感じたらすぐに中止してください。セラバンドエクササイズは、自宅で手軽に行えるため、継続しやすいのがメリットです。

セラバンドを使って腕や足の運動を行う際は、正しいフォームで行うことが重要です。理学療法士の指導のもと、適切なエクササイズを選び、正しいフォームで行うようにしましょう。

また、セラバンドの種類によって負荷が変わります。理学療法士に相談して適切な強度を選びましょう。

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退院後の生活を見据えて

日常生活動作を取り入れたリハビリ

リハビリテーションの最終段階では、実際の生活場面を想定して、起き上がり、立ち上がり、歩行、着替え、トイレ動作など、日常生活に必要な動作を取り入れた練習を行います。

日常生活の動作を取り入れたリハビリは、患者さんが社会復帰を果たすための、重要なステップとなります。

  • 起き上がり 安全な方法や、必要な筋力、バランス感覚を養います
  • 歩行 歩行器や杖などを使いながら安全に歩ける距離を徐々に伸ばします

日常生活に必要な動作を練習をすることで、患者さんは、自信を取り戻し、退院後の自立した生活の準備を整えます。

自宅でのリハビリ継続

退院後も、筋力維持・向上のためには、自宅でできるリハビリを無理のない範囲で継続することが非常に重要です。入院中に理学療法士から教わった運動やストレッチを、毎日続けるようにしましょう。

例えば、テレビを見ながら、椅子に座って足上げ運動をする、散歩をする、ラジオ体操をするなど、日常生活の中で無理なくできる運動を取り入れると良いでしょう。

また、訪問リハビリテーションを利用することも有効です。訪問リハビリテーションでは、理学療法士が自宅を訪問し、個別のリハビリプログラムを提供してくれます。自宅の環境に合わせて、安全かつ効果的なリハビリを行うことができます。

地域の介護予防教室なども活用してみましょう。介護予防教室では、集団で運動やレクリエーションを行うことで、楽しくリハビリを続けることができます。

介護サービスの利用

必要に応じて、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスの利用を検討しましょう。

訪問介護では、介護福祉士やホームヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの日常生活のサポートを提供してくれます。これにより、高齢者の方は、安心して自宅で生活を送ることができます。

デイサービスでは、日帰りで施設に通い、食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを受けることができます。高齢者の方の社会参加を促進し、閉じこもりを予防する効果があります。

介護サービスを利用することで、家族の介護負担を軽減することもできます。介護サービスの利用は、地域の包括支援センターに相談してみましょう。介護に関する様々な相談や適切なサービスを紹介してくれます。

介護用品 福祉用具の活用

介護ベッドや手すりなどの介護用品を(福祉用具)を活用することで、リハビリを安全かつ効果的に行うことができます。

福祉用具専門相談員に相談して、適切な用具を選びましょう。

福祉用具専門相談員は、利用者の身体状況や生活環境に合わせて、最適な用具を提案してくれます。

介護用品は、介護保険を利用してレンタルまたは購入することができます。

  • 介護ベッド 高さ調節や背上げ機能などがあり、身体への負担を軽減
  • 手すり 立ち上がりや歩行をサポート 転倒予防(玄関 トイレ 浴室など)
  • 歩行器 歩行を安定させ、転倒のリスクを軽減

 

その他にも、入浴補助具(シャワーチェア)ポータブルトイレ、ベッド、車椅子など、様々な介護用品があります。

福祉用具を上手に活用し、自立した生活を送りましょう。

まとめ

寝たままリハビリは、寝たきりの方でも自宅でできる効果的な運動です。安全に注意しながら、無理のない範囲で継続することで、筋力維持・向上、関節可動域の維持、血行促進、精神的な安定など、様々な効果が期待できます。ウエルシア介護サービスなどの専門家のサポートも活用して、快適な生活を目指しましょう。

寝たままリハビリは、あくまでリハビリの初期段階として有効な手段です。状態が改善してきたら、座位や立位でのリハビリに移行していくことが理想的です。そのためにも、医師や理学療法士と連携し、適切なリハビリプログラムを作成してもらうことが重要となります。

専門家によるサポートを受けながら、無理なく継続できるリハビリに取り組み、健康寿命の延伸を目指しましょう。ご不明な点やご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。