QUATRE(キャトル)の庭

アシュタンガヨガをしているヨギーニのQUATRE(キャトル)です。生活のヒントになるような情報や疑問に思ったことの調べごとメモを発信しています。

【リハビリ】高齢者の入院による筋力低下からの回復 食事 そして退院後の生活

高齢者の入院は、筋力低下を引き起こしやすく、その後の生活に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切なリハビリテーションと栄養管理を行うことで、筋力回復は十分に可能です。この記事では、入院中の筋力低下の原因から、回復のための具体的なリハビリ方法、食事の重要性、そして退院後の生活までを詳しく解説します。

入院が引き起こす筋力低下 その原因と影響

絶対安静による筋力低下のメカニズム

入院中の絶対安静は、体力温存のために必要な措置ですが、長期化すると筋力低下を招きます。筋肉は、普段から使われることで維持されるため、活動量が著しく低下すると、急速にその機能を失っていきます。この現象は、特に高齢者において顕著であり、わずか数日の安静でも、大きな筋力低下を引き起こす可能性があります

その主なメカニズムとして下記が挙げられます。

  • 筋線維の萎縮
  • 筋タンパク質の分解促進
  • 神経筋接合部の機能低下

早期離床と早期からの適切なリハビリテーションで、筋肉への刺激を維持し、筋力低下を最小限に抑えることが大切です。

筋力低下がもたらす日常生活への影響

筋力低下は、日常生活における様々な活動に深刻な影響を及ぼします。歩行能力の低下は、外出頻度を減らし、社会参加の機会を奪う可能性があります。立ち上がりや階段昇降の困難は、家事や身の回りの世話といった基本的な生活動作を困難にし、日常生活の質を著しく低下させます。さらに、バランス能力の低下は転倒リスクを高め、骨折などの重傷を招く恐れがあります。これらの影響は、高齢者の自立性を損ない、介護サービスの利用を余儀なくされるケースも少なくありません。筋力低下を予防し、早期に回復させることは、高齢者が住み慣れた場所で、自分らしく生活し続けるために不可欠な要素です。そのためにも、入院中から積極的にリハビリテーションに取り組むことが重要となります。

入院期間と筋力低下のスピード

入院期間が長くなるほど、筋力低下のスピードは加速します。

研究データによると、入院後最初の1週間で、最大で20%もの筋力が失われることがわかっています。特に高齢者の場合、基礎代謝の低下や栄養摂取量の減少などの要素が加わることで、筋力低下はより深刻化します。

長期臥床による筋肉への負荷減少は、筋線維の萎縮を促進し、筋力だけでなく、持久力や柔軟性も低下させます。また、神経系の機能も低下し、運動制御能力が低下することで、転倒リスクがさらに高まります。

入院期間中の適切な栄養管理と早期からのリハビリテーションは、筋力低下のスピードを緩め、その影響を最小限に抑えるために不可欠です。個々の患者の状態に合わせた、オーダーメイドのリハビリテーションプログラムが重要となります

食事で筋力回復をサポート タンパク質と栄養バランス

タンパク質の重要性 筋肉の材料

筋肉は主にタンパク質で構成されているので、筋力回復や筋肉量の維持・増加には、十分にタンパク質を摂ることが不可欠です。また、タンパク質は、アミノ酸に分解され、体内で再合成されるため、継続的な摂取が大切です。

高齢者の場合、タンパク質の摂取量が不足しがちなので、意識的に摂る必要があります。肉、魚、卵、大豆製品などの良質なタンパク質源を積極的に食事に取り入れましょう。

また、一度に大量のタンパク質を摂取するよりも、毎食バランス良く摂取する方が効果的です。

適切なタンパク質摂取は、リハビリの効果を高め、早期回復をサポートします。

バランスの取れた食事 エネルギー源の確保

バランスの取れた食事は、筋肉の回復をサポートし、全身の機能を正常に保つために不可欠です。

筋力回復には、タンパク質だけでなく、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど、様々な栄養素をバランス良く摂取することが重要です。

  • 炭水化物 筋肉を動かすための主要なエネルギー源
  • 脂質 細胞膜の構成成分やホルモンの材料で体の機能を維持するために必要
  • ビタミンやミネラル 代謝を円滑に進めるために不可欠な栄養素

これらの栄養素が不足すると、筋肉の合成が阻害されたり、エネルギー不足によりリハビリの効果が低下したりする場合があります。

栄養士に相談し、個々の状態に合わせた食事プランを作成してもらうことも有効です。

栄養補助食品の活用:必要に応じて

適切な栄養補助食品の活用は、栄養状態を改善し、筋力回復に役立ちます。

食欲不振や消化機能の低下により、食事から十分な栄養を摂れない場合は、栄養補助食品の活用を検討しましょう。栄養補助食品には、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどがバランス良く含まれているので、不足している栄養素を補うことができます。

ただし、栄養補助食品は、あくまで食事の補助として使うもので、食事の代わりにはなりません。医師や栄養士に相談し、個々の状態に合わせた適切な栄養補助食品を選びましょう。

また、栄養補助食品の摂取量やタイミングについても、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

まとめ

入院による筋力低下は、高齢者にとって大きな課題です。

入院中からの早期リハビリテーションの開始、退院後のリハビリテーションの継続、栄養バランスの取れた食事を摂ることで、その影響を最小限に抑え、回復を促進することができます。

また、患者さん自身が医療スタッフや介護サービス提供者と連携することで、より効果的な回復が期待できます。

筋力低下からの回復は、単に身体機能の回復だけでなく、患者さんのQOL(生活の質)の向上にも繋がります。自立した生活を取り戻し、自分らしく生きるために、周囲のサポートも得ながら、積極的にこれらの対策に取り組みむことが大切です。