こんにちは、QUATRE(キャトル)です。
10日5日はレモンの日です。なぜにこの日がレモンの日なのだろう?レモンの産地の方が制定した日なのかなと思って調べてみたところ、ある詩が関係していることがわかりました。
レモンの日は高村光太郎「レモン哀歌」 から
その詩は、高村光太郎(たかむらこうたろう)の代表作『智恵子抄』に収録されている「レモン哀歌」です。
肺結核で闘病中の智恵子が求めていたレモン。
数滴のレモンの汁は、「ぱつと智恵子の意識を正常にし」て、「智恵子がもとの智恵子となり」ます。死へ旅立つ間際のその情景は、とてもおだやかに美しく描かれています。その数時間後、智恵子は旅立ったといいます。
高村智恵子(1886年5月20日 - 1938年10月5日) 享年52歳
レモン哀歌
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう(引用元:青空文庫より)
智恵子の命日10月5日をレモンの日として、一番近い日曜日、智恵子の出身の福島県二本松市で、智恵子の里レモン会のみなさんによってレモン忌が開催されています。
レモンの日に読みたい梶井基次郎「檸檬」
もうひとつ、レモンで連想されるのが梶井基次郎(かじいもとじろう)の代表作『檸檬』です。京都大学に在籍していた梶井らしい京都が舞台の短編小説です。
奇しくも梶井も肺結核に苦しみました。中学5年生に進学した頃から(1918年)結核性の病気で寝込むことが多く、21歳のとき(1920年)「肺尖カタル(肺結核)」と診断されます。
普段から持ち歩くほど檸檬が大好きだった梶井は、レモンティやレモンを浮かべたソーダを好んでいたようです。1925年に発表された小説『檸檬』の主人公も肺尖を悪くしていてレモンが好きだと言います。梶井自身とも重なります。
いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈たけの詰まった紡錘形の恰好かっこうも。 (引用元:青空文庫より)
梶井の旅立ちは梶井の母・梶井久によって『臨終まで』に書き記されています。智恵子の「嵐」もまた同じような壮絶な苦しみだったのでしょう。
梶井基次郎(1901年2月17日 - 1932年3月24日) 享年31歳
梶井基次郎の命日3月24日は、小説の題にちなんで漢字で檸檬忌と呼ばれています。
『檸檬』の主人公がレモンを置いたとされる丸善はいったん閉店されましたが、丸善書店&ジュンク堂書店合併(2015)で生まれ変わった丸善京都本店では、檸檬を置くカゴが置かれています。
梶井基次郎の短編小説『檸檬』で知られる丸善京都。店内にレモンを置くカゴも設置しています♪#丸善京都 #丸善檸檬 pic.twitter.com/uXfNLhnbjO
— honto (@honto_jp) August 18, 2015
また、戸田書店静岡本店の閉店の日には、こんなこともありました。
【1F文芸書売場】
— 戸田書店 静岡本店 (@toda_shizuhon) July 26, 2020
えっ!…檸檬…!
いつの間に…!!
すてきなお客様がご来店されたようです。 pic.twitter.com/Jum99P3kbr
レモンと結核
数年前のことですが、レモンにたくさん含まれるビタミンCには結核菌を殺傷する効果があると報道されていたことを思い出しました。
智恵子も梶井も大好きだったレモン。二人がレモンを求めていたのは、レモンの色やあの爽やかな酸味や香りの癒しと同時に、体もまたレモンのビタミンCを求めていたのかな、とふと思いました。
そこで、実験で使用したシステインを、別の還元剤であるビタミンCに代えたところ、結核菌は同じく死滅した。「信じられなかった」とジェイコブズ氏。「さらに驚くべきことに、抗結核薬のイソニアジドを除外して、ビタミンCだけにしたところ、ビタミンCが結核菌を殺傷することを発見した」 (引用元:afpより)
レモンの日にオススメのレモン
さて、レモンの日には、文学に浸りながらレモンもいっしょに楽しみたいですね。
みなさんのオススメのレモンの楽しみ方がありましたら、ぜひ教えてくださいね。
氷川きよしさんのレモン
氷川きよしさんのご自宅にはレモンの木があるようです。自家製のレモンでレモンミント水なんて素敵ですね。
広島土産のレモン商品
レモンはいまや広島のお土産の定番です。お土産屋さんのみならず、地元スーパーではさまざまなレモン商品が販売されています。
檸檬書店|丸善ジュンク堂書店×古川紙工
丸善ジュンク堂書店さんから、古川紙工とのコラボ「檸檬書店」が発売されています。大人気で早くも品切れも出ているとか。お求めは全国の丸善ジュンク堂書店で!
【丸善ジュンク堂書店×古川紙工】和紙のレターシリーズ #檸檬書店 発売🍋 アイテムは「一筆箋」「レターセット」「ミニレターセット」「フレークシール」の4つで、それぞれ4種類のデザインがあります。丸善ジュンク堂書店の70店舗で販売しています。取扱店舗など詳細は↓https://t.co/dJbkLM5Yw5 pic.twitter.com/aox0XB76m3
— 丸善ジュンク堂書店【公式】 (@maruzeninfo) September 9, 2020