おいしいパンとの出会い
2004年の夏、友達とフィンランドで2週間のファームステイをしました。初めてのフィンランドなのに、懐かしいような、癒されるような、なぜか落ち着く空間でした。
毎朝、テーブルにはライ麦パンとオートミールとサラダが並び、フィンランドの国民食ともいえるカレリアパイを毎日食べ放題という至福のときでした。
癒される空間の理由は
ある日、友達と私は近くの森へ散策に行きファームに戻ってきたとき、ファームのパパがちょうどどこかにお出かけるところでした。そのとき、キッチンから呼び止めるママの声がしました。ママが手にしていたのは、焼きたてのカンパーニュでした。
部屋に広がる焼きたてパンのかおりで、いつも朝食べていたパンはママが毎日焼いていたパンで、いやされるこの空気感は、この焼きたてパンのかおりだったんだなと気がつきました。さらに驚くことに、キッチンには大きな樽があり、酵母までもが自家製でした。
「わたしもこんな風に焼きたてパンのある暮らしをしたい!」
これがきっかけで、私はパンを焼くことに興味をもちはじめました。
焼きたてパンの香り成分の効果
焼きたてパンが美味しいことはもちろんですが、パンを焼いているときに広がる香りこそ、自家製パンのたまらない魅力です。
焼きたてパンの香りの成分
パンのよいかおりはとても複雑で、瀬口正晴氏(神戸女子大学名誉教授)によると、その成分は540種類にものぼるとか。
そのままオーブンで焼き続けると、次にパンのいい香りがでて来ます。これはエタノールの様な刺激臭ではなく我々がパンのいい香りと称する香りです。この中には数多くの物質が存在していますが、論文などによると何と540種類の臭い成分が報告されています。(引用元:食の専門家Blog)
焼きたてパンの香りの効果
そして、そのおいしい香りは人の行動にポジティブに働くようです。フランスの南ブルターニュ大学の研究によると、おいしい香りただようところでは、自分から人を助けようという行動がより多く見られるのだとか。
いい香りの調査対象としてパン屋さんを選ぶところが、フランスらしいですね。
Our results show that, in general, spontaneous help is offered more in areas where pleasant ambient smells are spread,
(引用元:the Daily Mail)
いまから15年も前のお話です。ナマケモノの私は、教室に通ったりさぼったり、しながらも、天然酵母を酵母を起こしてパンを焼けるようになりました。
どんな有名なパン屋さんのパンよりも、自分で焼いた焼きたてパンに勝るものなし
私の大好きなパンの先生の言葉です。どんなにおいしいブーランジェのパンでも、あの焼きたての香りまではおうちにまでは持って帰れません。
夏のあいだ暑さからさぼっていましたが、そろそろお家ベーカリー再開します。